のぞみとひかり
のぞみとひかりは双子の兄妹
よく似てる
間違えられることも多いから
その時のぞみはひかりのふりを
ひかりはのぞみのふりをする
そう彼らは一瞬で
入れ替わることができるのだ
のぞみはよく
ベッドの上で目を瞑った瞬間に
自分がひかりになるような気がした し
眠っているあいだ ひかりは
自分がひかりであることを忘れていた
朝
のぞみがカーテンを開けると
鏡を見ていたひかりは まぶしさに目を細め
のぞみも鏡を覗き込む
のぞみが街を出ていく日
ひかりはひとりで見送った
駅のホームで手を振るひかりが
どんどん遠ざかっていくのを
のぞみは何度も夢に見る
「僕たちは続いていく名前なんだよ」
とのぞみがひかりに言ったのは
もうだいぶ昔のことだ